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大人の事情2
大人の事情3






「で、異動はいつになるんですか?」

「次の日曜日よ」

「え、それって二日後やないですか!」


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この会社、異動は滅多にないし、
時間もすごくかかる。

そやのに今回は異例の素早さ。

ま、もう異動ってわかってんやから、
早い方が良いけどさ。



「あなたは優秀なメイクアップアーティストだから、
メイクアップに強いラインに異動してもらうと思うわ」


アシュレーは高級ブランドの名前をあげた。


このミーティングで、私が一つひっかかったことは
マネージャーのアシュレーが
私の目を一度も見なかったことだった。

前の独裁者と違って、
オープンで明るいマネージャー、アシュレー。

まだ四十そこそこだが、
自分より年上、母親みたいな年齢のオバハンたちを
頑張ってまとめている。
(もちろん、若い子もいるが、ほとんどはオバハン)


ポジティブで正直な彼女なのに
私の目を見て話さない。

こんなことって今までにあったかなぁ。



翌日、
私の異動先が決まった。

はやっ。


相変わらずアシュレーは私の目を見ない。

「トレンドビューティー(仮名)に異動してもらうわ」

「え・・・」


トレンドビューティー(仮名)は
デパート内のドラッグストアのようなもので、
一つのブランドではなく、
各種ブランドを扱っている。

そこそこ名前の知られているブランドもあれば、
誰も知らないブランドもある。

そして、メイクアップはない。

昨日の高級ブランドはどないなってん?
メイクに強いブランド行くんちゃうかったんか?

などと、アシュレーを問い詰めたりはしない。

言うてもどないもならんこと、わかってるから。

そもそも、アシュレーが決めたわけではないだろう。

メイクの強いラインへの異動は、アシュレーのアイデアだろうが、
そのアイデアは、認められなかったというわけだ。


「優秀なメイクアップアーティスト」のはずの私やのにw
カラーを扱うことがなくなった。

続く



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