浪花女のサバイバルinアメリカ

20年の国際結婚に終止符。いつの間にかアメリカ生活27年。 そんな私の日常です。

タグ:デパート

大人の事情1
大人の事情2

化粧品売り場マネージャーのアシュレーから
オフィスに呼び出された。

こういう場合、あんまり良いことはない。

アシュレーは書類に目を落としたまま
話し始めた。

「日曜日にね、ミステリーショッパーが来て、
あなたの態度が気に入らなかったらしいの。
本来はクビになるところやけど、
会社としてはあなたを失いたくないの。
だから、あなたには他の売り場に異動してもらうわ」


え?


「あなた、覚えない?」


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ないけど・・・
そんな、客怒らせるようなことしてへんで・・・

ミステリーショッパーとは、覆面調査員のことで
客のふりしてやって来て、
私たちの接客態度を見る。

どんだけアメリカナイズされてる言うても
日本人の私。

接客態度だけは他の店員より良いのに。



「私、何したんですか?」

「実はそのミステリーショッパーは
某ラグジュアリーブランドのレプレゼンタティブの妹で、
買い物に来た時のあなたの態度が気に入らなかったて言うのよ」


それって、ミステリーショッパーやないやん。

私の大ボス(会ったこと一回もないけど)の家族やん。

大ボスは私のボスやが、その妹は何様でもないやんか。


彼女が私を気に入らんかったからって、
私、クビ?マジで?


てか、何がそんなに気に入らんかってん?


「リップライナーが欲しいって言うたのに、
あなたは彼女に椅子に座ることも勧めず、
新色の口紅を見せることもなく、
メイクオーバーのオファーもしなかったって話よ」

確かに、私らの仕事は
できるだけ客を椅子に座らせて
スキンケアなりメイクなりを
試してもらわんとあかん。

ブランドと店側の言い分やと
全てのお客さんを座らせて
なんか塗りたくって、なんか買わせなあかん。


しかし、物事そないマニュアル通り進むわけはなく、
急ぎの客もいてるし、
他人に顔触られたくない客もいてるし、
もうすぐメイクの予約してる客が来るから
私の方に時間がないということだってある。


これでクビやったら、化粧品売り場全員
辞めてもらわんならん。あほらしい。

ていうか、アシュレーが言うてる「日曜日」は
めっちゃ暇な日で
私が応対した客は、三組ほどしかなかったのに
私はこの話に
全く覚えがないのだ。



しかし、何を言っても、
言い訳めいて聞こえると思ったので
黙ってアシュレーの話を聞いていた。

そしてその時は自分の立場より
脳の老化の方が
本気で心配になった。

だって、ほんまに何にも覚えてないんやもん。

ちょっとした買い物のために
休憩時間、他のデパートに行くことがある。

アメリカのデパートはドレスコードはあるものの、
一部の化粧品カウンターを除いては
制服というものがない。

なので、一目で「この人店員さん」とわからないこともある。


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黒い服を着て、
いつも無駄にニコニコしているので
他の店に買い物に行っても、そこの店員と間違われることがある。


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いや、店員ちゃうし。

おばさんがキレてしまった。

この後、私は「この売り場」だけではなく
「この店」で働いてない、
てか、私、客や、ということを説明した。


「じゃあ、誰に訊けばいいのよ?」
と、おばさん。

答える筋合いすらないが
親切な私は、にっこり笑って

I don't know.

とだけ言うて、とっとと立ち去った。

知らんがな!私も客や!
と、怒やしつけるわけにもいかんしね・・・


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